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メイン:常遇春(LV199)


by maplesheyi
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解答篇

先日の問題に対する解答・解説です♪


・業務上「横領」に関して。

以下の選択肢の中から、適切な文章を1つ選びなさい。

(1)融資課職員が自店のATMに置き去られていた現金を着服した場合は、業務上横領罪が成立する。

(2)融資課職員が営業課職員の保管している顧客の現金を盗取した場合は、業務上横領罪は成立しない。

(3)融資課職員が集金した現金を顧客の口座に入金しないで、いったん自分自身の消費者金融の返済に充当しても、数日後の給料日に同額を本来の顧客口座に入金した場合は、業務上横領罪は成立しない。

(4)融資課職員が、顧客から保護預かり分として預かった有価証券を、自己の債務の担保に使おうとしていったん自宅に持ち帰ったが、思い直して翌日正規の保護預かり手続きを行った場合は、業務上横領罪は成立しない。

このような問題でした。


解法としては、横領の定義を理解しているかがポイントです。

横領とは、「他人の物を横取りすること」と考えている人が多いかも知れませんが、

これ、実はかなり不正確な表現なのです。

他人の物を横取りするのであれば、窃盗や強盗でも該当しますよね。


問題文では、業務上横領罪とあります。

業務上の横領とは、例えば、

・顧客が職員Aに現金を預ける。

・職員Aが預かった現金を着服する。

といったように、業務上自分が所持することになった他者の物を盗む行為を指します。

仮に、着服した現金を後日、同額で正規の手続きを踏んで返還したとしても、

横領は既遂なので有罪確定になります。


一方、業務上横領罪とはされないケースもあります。

例えば、

・顧客が職員Aに現金を預ける。

・職員Bが、職員Aの預かった現金を着服する。

この場合、職員Aの管理責任が問われる可能性はありますが、

職員Aが着服したわけでは無いので横領に関しては未成立です。

では職員Bが業務上横領罪に該当するのでは・・・・・・と思いきや、該当しません。

顧客から預かった現金は、職員Aの占有物です。

職員Bが現金を着服した時点での占有権は職員Aにあるので、

業務上横領罪の定義から外れるのです。

その代わり、職員Bには窃盗罪が適用されます。('A`)


問題に戻ってみると、

(1)は現金がATMに置き去られていた時点で、その占有権はATM、すなわち銀行に属します。

よって職員は窃盗したことになり、業務上横領罪は成立しません。

成立すると主張するこの文章は誤りなので、設問の解答としては不適切です。

(2)は上で例示した通り、窃盗罪のケースです。

よって業務上横領罪は成立しません。

この設問の解答としては、(2)が正解となります。

(3)は預かった現金を自らの借入金の返済に充てた時点で業務上横領罪が成立します。

後から元に戻しても手遅れです。

成立しないと主張するこの文章は誤りなので、設問の解答としては不適切です。

(4)は有価証券を担保目的で自宅に持ち帰った時点で業務上横領罪が成立します。

翌日に思い直して正規の手続きを踏んでも手遅れです。

成立しないと主張するこの文章は誤りなので、設問の解答としては不適切です。



というわけで、答えは(2)でした。
by maplesheyi | 2008-06-03 21:50 | その他